茶畑広がるスリランカ国鉄【2019.2】

 ネットで偶然ある写真を見つけた。茶畑の広がる長閑な山間部の駅にて、腕木式信号機の傍らに停車する客レ。日本では失われた鉄道風景が、そこには広がっていた。

 

 撮影された場所は、スリランカのNanu-Oya駅。この風景の中を走る列車を撮影してみたい。また、自分なら違う切り口でこの風景を切り取れるのでは無いか。そう思った次の瞬間にはネットで航空券を物色していた。

 

 しかし大学の長い春休みに、スリランカを往復するだけでは芸がない。スカイスキャナーをこねくり回していると、インドへの往復航空券を購入すれば、ストップオーバーでスリランカに滞在できることが分かった。値段もスリランカ往復の場合と大して変わらない。

 

 日本人旅行者にとってどこか特別視されるインドへは、学生のうちに一度行ってみたかったので渡りに船だ。そんなこんなで、スリランカ航空で 成田 ⇄ コロンボ ⇄ マドゥライ の経路を発券した。

 

 Flight:成田(UL455)コロンボ

 

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 スリランカの首都コロンボは賑やかな街だった。朝のColombo Fort駅を訪れてみると、屋根乗りする人こそいなかったものの、近郊からの到着した列車には、ドアに鈴なりに乗客がしがみついていた。

 

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 近郊列車は気動車で運行されてる一方で、長距離列車には客車列車も残っているようだ。常夏の国にも関わらず黒ジャケットをスマートに着こなした列車長が、機関士に対して出発合図を出す。

 

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 コロンボには1日滞在し、いよいよNanu-Oya駅を目指す。ミカンを売る行商人に、車窓は茶畑と、さながら南国版大井川鐵道といった風情を感じながら、6時間の列車旅を楽しんだ。

 

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 山間部のNanu-pay駅。正にこれが旅への原動力となった風景だった。

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 実際に訪れてみると、思ったよりも急峻な地形で、線路や街を取り囲むように立体的に山々が広がっていることに驚く。これは俯瞰撮影には有利で、駅周辺だけで様々な風景を収めることができた。

 

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 ジャパニーズ撮り鉄アングルにも挑戦。S字カーブを抜ける列車を望遠気味に撮影してみた。

 

 コロンボでの客引きやタクシーにはあまり良い思い出はないが、山間部の人々や風景はそれに余りある素晴らしさだった。
 煮え切らない思い出と心なしか軽くなった財布を手に、次なる地インドへと向かった。