種子島でロケット打ち上げ見学【2021.12】

 修論も佳境に入りつつあった12月末。私は天気予報とスケジュールを交互に睨んでいた。場所は種子島、12月21日にHⅡAロケット(H2AF45)の打ち上げが予定されていた。

 

 年々過熱するロケット人気に比べて、種子島へのアクセスは貧弱である。鹿児島から約50人乗りのプロペラ機が3~4往復しているが、打ち上げ日が公式発表される前には既にメーカーやマスコミ関係者で満席。残るはフェリーでの上陸だが、その先のレンタカーも一瞬で予約が埋まってしまう。

 

 熾烈な予約合戦を勝ち抜くには、飛行機やホテルの空き状況から、公式発表よりも前に打ち上げ日を予想し、各種手配をする必要があった。修論のスケジュールも見通せない中、ヤマを張れるわけもなく、今回も現地参戦は無理なように思えた。

 

 しかし、打ち上げ前々日の12月19日になって、天候不順のため打ち上げを21日から22日に延期するとの報。天気予報を見ても22日の天気は良好。これ以上の順延はないように思えた。実験も一段落しており、2日間の移動手段さえ確保できれば見に行ける。

 

 祈りつつ予約サイトを叩いてみると、1日ずれたことによって航空機もガラ空き。レンタカーも1台だけ、軽トラなら空きがある。直前の航空券予約は価格的にハードルが高いが、今回はマイルの恩恵にあずかって発券。

 

 Flight:羽田(JL0643)鹿児島(JL3763)種子島

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  低空を飛行するプロペラ機からは桜島が望めた。天気も悪くなく、否応なしに打ち上げへの期待が高まる。

 

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 打ち上げは夜23時半。それまで島をぶらつき、良さげな見学場所を物色。キャンプしながら打ち上げ見るのも楽しそうなので、いつかやってみたい。

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 温泉に入り、定食屋で夕飯を済ませていざ待機。島南部の採石場には続々と地元民の車が入ってきた。

 

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 技術トラブルでカウントダウンが一時停止するも、1時間遅れてリフトオフ。重々しく発進するのかと思いきや、閃光と数秒間の無音の後に、力強い爆音を残して、あっという間に夜空に消えていってしまった。

 

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 狭い軽トラにどうにか身をうずめて車中泊。人生二番目ぐらいに劣悪な睡眠環境だった(一番は総火演の前日待機列)。翌日はフェリーの時間まで宇宙センターをぶらぶらして余韻を楽しむ。


 うっかり5000円ぐらいするオリジナルパーカーを買ってしまったが、ロケット打ち上げはそれぐらい高揚して満足できる体験だった。