ウラジオストク放浪記【2019.8】

 日本から一番近いヨーロッパ・ウラジオストク

 

 ロシアがウクライナに侵攻した2022年から振り返れば空虚な響きだが、2019年は確かにそう呼ばれていた。従来からのオーロラ航空・S7航空に加えて、ANAJALも新規就航を発表し、当時日本近辺では一番注目されていた?都市に赴く計画を立てた。

 

 実際、ウラジオストクは近い。韓国や上海、香港、台湾と同じ距離感で、アジアとは異なる文化を味わえる。研究室に配属され、ゼミ合宿や卒研に追われる4年生の短い夏休みには最適な目的地に思えた。

 

 Flight:成田(S7 6284)ウラジオストク

f:id:enoura66:20220304183955j:plain

 S7航空お馴染みのきゅうりとハムのサンドウィッチを冷やかし半分に食べ、エレクトリーチカに乗れば、容易にかつての軍港都市にアクセスできた。

 

 到着してから大した目的もなく訪れたことに気がつく。ロシア国鉄を撮りに近郊の撮影地を訪れたものの、夏場は草が覆い茂り断念。ならばと市内でお手軽トラム鉄。終着サハリンスカヤ駅に近い区間は並木に挟まれた専用軌道を走る。背景の建物もどこか東側の無機質な雰囲気が感じられる。

f:id:enoura66:20220304184000j:plain

 

f:id:enoura66:20220304184012j:plain

 スタローヴァヤ(大衆食堂の意)で夕食を済ませ、Владивостокのネオンが浮かび上がる中央駅へ向かった。

f:id:enoura66:20220304185011j:plain

 今度来る時はシベリア鉄道完乗せずとも、ハバロフスクぐらいまで乗り鉄するのも悪くないかもしれない。そう考えながら列車を見送った。

f:id:enoura66:20220304184008j:plain

 V字型の主塔が印象的な斜張橋。カメラを向けても咎められないのは、ロシアも西側的価値観を受容している証拠だなと勝手に解釈していたが、事情聴取されなかったのは運が良かっただけかもしれない。

 

 わずか3泊4日の滞在だったが、ロシア語の素養もなく、近郊の街に繰り出す度胸もなかったので、十分すぎる長さだった。次にロシアの地を踏むなら、樺太に行くか、赤い矢号に乗るか。そのころには国際情勢が好転していることに期待したい。