茶畑広がるスリランカ国鉄【2019.2】

 ネットで偶然ある写真を見つけた。茶畑の広がる長閑な山間部の駅にて、腕木式信号機の傍らに停車する客レ。日本では失われた鉄道風景が、そこには広がっていた。

 

 撮影された場所は、スリランカのNanu-Oya駅。この風景の中を走る列車を撮影してみたい。また、自分なら違う切り口でこの風景を切り取れるのでは無いか。そう思った次の瞬間にはネットで航空券を物色していた。

 

 しかし大学の長い春休みに、スリランカを往復するだけでは芸がない。スカイスキャナーをこねくり回していると、インドへの往復航空券を購入すれば、ストップオーバーでスリランカに滞在できることが分かった。値段もスリランカ往復の場合と大して変わらない。

 

 日本人旅行者にとってどこか特別視されるインドへは、学生のうちに一度行ってみたかったので渡りに船だ。そんなこんなで、スリランカ航空で 成田 ⇄ コロンボ ⇄ マドゥライ の経路を発券した。

 

 Flight:成田(UL455)コロンボ

 

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 スリランカの首都コロンボは賑やかな街だった。朝のColombo Fort駅を訪れてみると、屋根乗りする人こそいなかったものの、近郊からの到着した列車には、ドアに鈴なりに乗客がしがみついていた。

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ウラジオストク放浪記【2019.8】

 日本から一番近いヨーロッパ・ウラジオストク

 

 ロシアがウクライナに侵攻した2022年から振り返れば空虚な響きだが、2019年は確かにそう呼ばれていた。従来からのオーロラ航空・S7航空に加えて、ANAJALも新規就航を発表し、当時日本近辺では一番注目されていた?都市に赴く計画を立てた。

 

 実際、ウラジオストクは近い。韓国や上海、香港、台湾と同じ距離感で、アジアとは異なる文化を味わえる。研究室に配属され、ゼミ合宿や卒研に追われる4年生の短い夏休みには最適な目的地に思えた。

 

 Flight:成田(S7 6284)ウラジオストク

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 S7航空お馴染みのきゅうりとハムのサンドウィッチを冷やかし半分に食べ、エレクトリーチカに乗れば、容易にかつての軍港都市にアクセスできた。

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国鉄型の走るヤンゴン環状線【2020.2】

Goteik鉄橋の続き。ピンウーリンからから夜行バスでヤンゴンヘ。

ミャンマーの夜行バスは途中休憩で全員降ろされる方式だった。

寝かせといてくれと思ったが、今思えば盗難などのトラブルを防ぐには一番合理的なのかも知れない。

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 ミャンマーに来たもう一つの目的はヤンゴン環状線の撮影である。訪れた2020年2月には、既にダニンゴン市場駅の線路上に広がる露天市場は過去のものとなっていた。しかし、ミャンマーの空のもと、国鉄気動車が走る環状線は東南アジア初心者の私にとって十分に魅力的だった。

 

 手始めに中央駅に向かうと東北地域色のヨンマルが出迎えてくれた。フレンドリーなおっちゃんも加えてお気に入りの一枚。気仙沼行の他にも、快速・名古屋行のヨンマルや松阪-鳥羽往復のキハ11が顔をそろえていた。

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ミャンマー北部の秘境・Goteik鉄橋【2020.2】

 大学院入学前の春休み。武漢での新型肺炎発生の一報は、日本にも届いていたもののどこか他人事。これが学生時代最後の海外渡航になるとは露にも疑わず、バンコク行の飛行機に乗り込んだ。

 

 目的はミャンマーのMandalay~Lashio線に位置するGoteik鉄橋。土木分野にバックグラウンドがある私としては、大渓谷を跨ぐトレッスル橋に惹かれていた。そして道すがら、開発によって線路端の光景が変わりつつあるヤンゴン環状線や、廃止が報じられているタイ・バンコクのフワランポーン駅の風景をカメラに収める計画を立てた。

 

Flight:羽田(JL033)バンコク(PG709)マンダレー

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 乗り合いバスで市内に投宿し、翌日はマンダレー市内を観光。そして薄ら寒さすら感じる朝4時、Mandalay発Lashio行の列車に乗り込んだ。目当てのGoteik鉄橋を渡る列車は1往復しかないのだが、幸い上下が交換するのは鉄橋を渡った先の駅。Goteik駅で下り列車を降りて、上り列車を待ち構え、撮影した後に駅に急げば一日で撮影が完結するはずだ。

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